20才ベンチャー企業での失敗談と法の理解の必要性
<社長はかっこいい>
「自分に対する欲をすべて捨てよ」と彼は言った。
かっこよすぎるし、その通りだと思った。
時間を使えばたくさん学べるし、たくさんアウトプットできるからだ。彼のようにいつかはベンツにも乗れるようになるだろう。
具体的には...
7:30から9:00まではカフェで勉強。
月曜日から土曜日まで9:00から22:00まで会社にいた。
日曜日は月に2回ほど午後から出社した。
要は、手段こそが目的になってしまったのだ。
<ベンチャーへの憧れと動機>
今の世界を牛耳っている企業の創設者たちは全員がベンチャー企業をつくることから始めた。
ラリーペイジとセルゲイブリン
マークザッカーバーグ
ジョフ・ベゾス
彼らは、会社をつくり素晴らしい商品をつくったのだ。
誰が憧れないのだろうか。
若かりし僕はその魅力に取り憑かれた。
資本主義の発展により貧富の差が広がり、個人(国民)が国家に対し人間らしい生活を要求した。その結果得られた権利を社会権(社会権的基本権)という。
社会権は主に生存権、労働基本権、教育を受ける権利に分けられる。
要は「生きること、働くこと、教わること」に対する権利を個人はもっているということだ。法律という形で、権利を保障するための厳格なルールが決められている。
労働基本権は憲法28条、憲法27①に記載があり、保障されている。
27条:すべての国民は勤労の権利を有し、義務を負う。
28条:勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利はこれを保障する。
・団体権
・団体交渉権
上記の権利を保護するための法律を「労働3法」という
・労働組合法
この中でも特に、「労働基準法」には「労働条件は労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充すものでなければならない」と記され、労働時間や休日、賃金など労働条件の最低基準が定められている。
「法律で定める労働条件の基準は最低のものであるからこの基準を理由に労働条件を低下させてはならないし、向上をはかるように努めなければならない。」とされている。
労働者は社会権や労働基準法にアクセルする力がなければ、大企業はともかくも、ベンチャー企業においてはその権利を侵害される恐れがある。
ベンチャー企業での経験は今でも感謝しているが、法律の理解はその第一ステップだと学んだ。
<労働者のモチベーションはみんなちがう>
僕にはモチベーションがあった。
プログラミング言語を学び、目標管理のためのアプリケーションを作りたかったからだ。
しかしその動機に対して、あまりにも社会のことやビジネスのこと、コミュニケーション能力の重要性を知らなかった。
ましてや、まわりの人との温度差に気づかなかった。
労働者には様々な事情、経験、経済状況があってこの仕事を選んでいるんだ。
しっかりと学ぶ必要があることに気づいた。
<ベンチャーの経験は有益>
ベンチャー企業では経営や事業のスピード感が極めて近くで感じられる。小さいオフィスで物理的にも近い距離で経営が動かされているのだ。
経営者と労働者の間に差を感じず、全員に一体感がある気がした。
経営者は「それ」を求める。要は労働者に経営視点とその行動力を求めるのだ。
これがわかった上で働くなら、自分にとっても会社にとっても良い結果を産むだろう。
しかし、僕は若すぎたし、頭が悪すぎた。
有益だと思っていただけで、無知のせいで実態は最悪だったのだ。
<失敗しないために>
法律を理解する
→労働者のための法律
→会社法
→ビジネスに関する法律
財務を理解する
→少なくとも簿記の知識は必須
→ベンチャーでは必要に応じて事業創設を任されることが多々ある
権利を理解する
→労働者の権利、人権に関する知識は必須
働く上での動機を明確にする
→動機を掘り下げて考えることで、あなたの働く場所はベンチャーではないのかもしれない。